今年のノーベル経済学賞は、私の予想通りポール・ミルグロムとロバート・ウィルソンが受賞した。オークションについては1996年のヴィックリー以来、賞が出ていないので、遅すぎるぐらいだ。ミルグロムの理論は数学的には新しいものではないが、これを電波オークションとして実用化した功績は彼のものである。

アメリカでは2016年に600MHz帯をオークションにかけ、T-Mobileが落札して5Gのサービスをすでに開始している。このオークションで一番ややこしかったのは、この帯域をテレビ局が占有しており、それを立ち退かせないとオークションができないことだった。FCCではテレビ局を立ち退かせる制度設計を考えていたが、これは複雑で実用化できなかった。

そこで私は2003年に帯域を買い取るオークションを設計する論文を書いた。これはテレビ局のもっている電波を政府が逆オークションで買い上げるもので、FCCのペッパー局長の参加した会議で発表したら彼が認め、その後FCCがこれを「インセンティブ・オークション」として実用化した。

日本でも同じ問題があるが、逆オークションは必要ない。日本の地デジでは周波数がソフトウェアで変更できるので、テレビ局を立ち退かせなくても、SFNという技術で電波が区画整理できるのだ。テレビ局は今まで通り放送ができ、空いた帯域に入ってくるのは通信業者なのでテレビとは競合しない。これは私が規制改革推進会議で発表して総務省も認めたが、闇に葬られてしまった。

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