文化進化論:ダーウィン進化論は文化を説明できるか
学校では「ラマルクの用不用説は間違いだ」と教える。彼は「キリンの首が長いのは高い木の枝の実を食べるためだ」と主張したが、獲得形質は遺伝しないからだ。言葉も遺伝しないが、子供はまるで親から遺伝したように話せるようになる。それはなぜだろうか?

これはそれほど自明の問題ではない。チョムスキーは人間の脳内に備わる「普遍文法」が遺伝すると主張したが、これは今日では否定されている。主流派の答は、文化はラマルク的に進化するというものだ。文法は遺伝しないが、他人の行動を見てまねる能力は遺伝するからだ。

たとえば獲物を食い殺せる丈夫な歯が進化するには何万年もかかるが、歯の弱い個体が石器で獲物を殺せるようになると、この技術は数年あれば集団全体に広がる。つまり図のように遺伝では長期間かかる環境への適応が、文化によってそれよりはるかに速くできるようになったのだ。

culture

その代わり人間には、他人の行動をまねて集団で継承する能力が必要だ(言葉は不可欠ではない)。類人猿には多少そういう能力があるが、道具のような複雑な技術をまねることはできない。

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