これは言いえて妙である。ブレジネフ時代(1964~82)にソ連の社会主義体制は老朽化し、破綻していたが、既得権を守って問題を先送りし、長期政権を維持した。その後はアンドロポフ(1982~84)やチェルネンコ(1984~85)と短命政権が続いたが、ゴルバチョフ(1985~91)がやった改革で、ソ連そのものが崩壊した。

日本経済が当時のソ連のように破綻しているわけではないが、日本型資本主義の老朽化は社会主義末期に近い。特に問題なのは、大企業から中小企業まで雇用維持を至上命令とする労働者管理企業になっていることで、この点はソ連と似ている。

日本企業の意思決定は内部昇進の経営者(労働者の代表)が行うので、資本が浪費される。ソ連と違うのは市場の競争で浪費に歯止めがかかることだが、長く続いたゼロ金利で金融市場の規律がきかなくなった。資本を浪費する中小企業が保護を受けて生き延び、利益剰余金(いわゆる内部留保)が450兆円にのぼる。

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ソ連の国営企業に相当するのは、この中小企業である。安倍政権を支えた今井尚哉補佐官を中心とする経産省の官僚に一貫した方針があるとすれば、中小企業を税制や補助金で延命して役所の権限を拡大することだった。この点はソ連の「ノーメンクラツーラ」と似ている。コロナ不況でばらまいた巨額の「持続化給付金」は、その集大成である。

ブレジネフのアナロジーが今後も続くとすると、何代か短命政権が続いて混乱しているうちに、日本経済が完全に行き詰まって中小企業が整理・統合されるときが来るだろう。それが金利上昇という形で起こるのか、資産バブル崩壊という形で起こるのかはわからないが。

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