検査陽性者数が増えたことが話題になっているが、毎日900人前後というのは世界的には取るに足りない。陽性者数というのは統計的に無意味なので、毎日の人口あたり死者で比較すると、最近、死亡率の上がっている「第2波」の筆頭はアメリカ(100万人あたり3人)だ。これに対して日本の死者はほぼゼロで、図に描くこともできない。

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各国の100万人あたり新規死者(FT.com)

他に第2波が来ている主要国はオーストラリアとイスラエルで、いずれもEUより強硬なロックダウンで封じこめに成功したといわれていた。おもしろいのはルクセンブルク(人口62万人)で、国民の98%をPCR検査して封じ込めたといわれていたが、今は世界最高速で死者が増えている。

この中で日本と似た環境にあるのはオーストラリアである。ともに島国で入国制限しやすく、6月までは死亡率はほぼゼロで同じだった。ところが7月にオーストラリアがロックダウンを解除してから死者が急に増え、累計では日本を抜いた。オーストラリアの人口は日本の1/5なので、死亡率は5倍である。

まだ感染は進行中なので断定はできないが、これまでのデータからいえるのは、ロックダウンでウイルスを封じ込めれば経済が早く回復するというのは幻想だということだ。ウイルスは根絶できないので、一時的に感染を止めても、ロックダウンをやめたら感染は再開する。最終的には(広い意味での)集団免疫ができるまで感染は止まらないのだ。

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