コロナの「第2波」をめぐる論議には勘違いがある。いま行われているPCR検査は、陽性者を発見して隔離する検査で、疫学的には意味がない。正確な統計をとるにはランダムサンプルが必要だが、今の検査はランダムではないので、検査陽性が増えても本当の感染者が増えているかどうかはわからないのだ。

たとえば東京都民の5%が、コロナウイルスをもっているとしよう。咳や発熱などの症状の出た人の20%がコロナ患者だとすると、症状の出た人500人を検査すると100人が陽性になる。これが東京の4~5月の状況に近い。

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東京都の検査人数・陽性者数(棒グラフ)と陽性率(右軸)

そこで6月以降に検査キットを増やし、無症状の人にも検査を拡大した。発症者1000人+無症状5000人を検査すると、無症状の人の5%(250人)がコロナウイルスをもっているので、検査陽性は100人+250人=350人に増える。これがいま起こっている状況に近い。

このケースでは本当の感染者は5%(70万人)で、増えても減ってもいない。実際のデータでは4~5月に陽性が減っているので、自粛の効果はあったと思われるが、これは誤差の範囲である。6月以降の陽性者の増加は検査の増加とほぼ比例し、陽性率は6.5%前後でほとんど変わらない。つまり陽性が増えた最大の原因は検査方法の変化なのだ。

では本当の感染者は何人いるのか。今まで行われた抗体検査では陽性率は1%以下だが、これは低すぎる。常識的にはウイルスをもっている人はもっと多いのではないかと思うが、ソフトバンクグループの検査では、逆の結果が出た。

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抗体陽性率は0.43%だったが、その陽性者191人のうち(抗体検査の前に行われた)PCR検査でも陽性になった人は11人だった。これはPCR検査で陽性になった人の17倍が抗体をもっていることを示しているが、どう解釈すればいいのだろうか?

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