テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ
新型コロナは欧米では重要な感染症だが、日本ではインフル未満の風邪である。それが過剰に騒がれる原因は、マスコミが毎日、感染者数を報道して不安をあおることだ。たとえば7月21日の東京の新規感染者数(検査陽性者数)は237人だという数字は多くのメディアが報道したが、新規重症患者は1人、死者はゼロだったことは報じない。

このインフォデミック(情報災害)の主犯はワイドショーである。特に「羽鳥慎一モーニングショー」は一貫して過剰報道を続けてきた。本書はアゴラでおなじみの藤原かずえさんがそれを逐語的に紹介した本で、ふだん(私のように)テレビをまったく見ていない人には、ワイドショーがいかにひどいかわかって便利だろう。

著者も中立の立場で論評しているわけではないが、気になるのは、こういうワイドショーのスタンスが(特にTBSとテレビ朝日で)均質化していることだ。沖縄の基地と森友学園と新型コロナはまったく違う問題だが、ワイドショーは同じ立場でコメントする。それと違う意見のコメンテーターは出演させない。

他方で出演者も、その空気に迎合する。たとえば本書で「『アベが悪い』の千夜一夜物語」と酷評されている後藤謙次氏は、共同通信にいたころは中立の立場から政治を語っていたが、「報道ステーション」のコメンテーターになってから急速に左傾化した。

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