戦後日本政治の総括
コロナ騒動で印象に残ったのは、日本の強さと弱さである。アメリカでは罰則をともなう外出禁止令で暴動が発生したが、日本では緊急事態宣言の要請だけで乗り切った。その強さをたたえる人が多いが、それは憲法に非常事態条項がないための弱さであり、日本が望んだものではない。

本書も指摘するように、こういう「弱い日本」は「強いアメリカ」と表裏一体だった。このため反米の首相は短命で、親米の首相は長期政権になる。第1次安倍内閣と第2次内閣の違いが、それを端的に示している。第1次内閣は「戦後レジームからの脱却」をめざして挫折したが、第2次内閣以降は自民党ハト派に近い親米路線である。

タカ派政策の最たるものと思われた安保法制も、アメリカから極東の防衛負担を求められたためだった。集団的自衛権を容認したあとは「アメリカがうるさくいわなくなったので憲法は改正しなくてもいい」と安倍首相はいったという。憲法改正は日米同盟を支えるためだったので、今はもう必要ないのだ。

首都上空の管制権をアメリカがもつ日米地位協定は占領体制の延長であり、最悪の戦後レジームだが、安倍政権は手をつけない。それはアメリカという世界最強の傭兵をやとうコストとしては安いものかもしれない。この「弱い国のかたち」は日本人の心にすっかり定着したが、本物の危機に強いかどうかはわからない。

続きは6月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。