東洋経済オンラインに西浦博氏のインタビューが出ている。彼の「42万人死ぬ」という予想は幸い大きくはずれたが、その原因をまだ理解していないようにみえる。
基本再生産数については、私は海外の例を使って2.5と想定することがよくあり、「根拠は何か」と問われることもあるが、海外では2.5という数値はリーズナブルだと考えられている
「海外の例を使って2.5と計算する根拠は何か」と問われて「海外では2.5がリーズナブル」と答えるのはトートロジーである。基本再生産数Roが2.5のとき、集団免疫の閾値Hは

 H=1-1/Ro=0.6

になるが、これだと日本人のうち7500万人が感染し、致死率1%とすると75万人が死ぬ。それが「42万人死ぬ」の根拠だが、さすがに彼もこれはおかしいと思ったようだ。
最近わかったのは、累積罹患率だけでなく、集団人口の何%が感染すれば、新規感染が自然に減少に転じるかという比率(集団免疫率)についても、従来の計算結果より小さくなること。ようやく異質性を取り入れた計算手法が真剣に検討され始めている。
計算方法を変えれば「Roが2.5でも20~40%で集団免疫が実現する」というのだが、それでも2400万人以上が感染するはずだ。ところが現実には感染者1万6000人で、感染は収束している。

これを彼は「大規模になりかけた流行をいったん制御しつつある段階」だというが、なぜ流行が途中で止まって収束したのか。それが「8割削減」のおかげでないことは、彼の計算した実効再生産数Rtの推移からみても明らかだ。むしろ2月にRt<1になっていたので、3月が異常値だった。

rt
実効再生産数の推移(折れ線・右軸)

Ro=2.5と考える限り、被害の大幅な過大評価は避けられない。残る答は、Roが2.5よりはるかに小さいと考えることだ。たとえば1.1だったら、上の式からH=0.1となり、1200万人が感染すると流行が終わる。これは季節性インフルと同じぐらいだが、問題は日本とヨーロッパでRoが大きく異なる理由は何かということである。

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