新型コロナは2009年に流行した新型インフルエンザ(H1N1)によく似ている。このときもWHOが「パンデミック」と認定して全世界で警戒態勢がとられた。日本でも一斉休校などの措置がとられたが、秋になって消えてしまい、厚労省は「過剰反応だ」という批判を浴びた。なぜ消えたのだろうか。

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日本の死亡率は低く、国立感染症研究所のまとめでは、次の表のように10万人あたり0.16人だった。今回の新型コロナは今のところ10万人あたり0.3人と、この2倍ぐらいである。これだけなら新型インフルと同じく「空振りだった」ということで、途中で対策を打ち切ってもよかった。

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ところがコロナで大騒ぎが続いているのは、欧米の被害が大きいからだ。H1N1の死亡率は最大のアメリカでも3.96人だったが、COVID-19は20.4人と5倍になっている。この騒ぎが逆輸入されて、日本でも緊急事態宣言が出されたわけだ。

では新型インフルも新型コロナも、日本ではなぜこんなに死亡率が低いのだろうか。それは感染症研究所の資料でも「よくわからない」と書いているが、表をみるとアジアの死亡率が低かったことがわかる。今回ほど劇的な差ではないが、これもBCG接種が関係している可能性がある。

感染爆発は起こらない

新型インフルエンザが消えた原因としては、もともと日本人にH1N1と似たウイルスに対する抗体があり、それが「交叉反応」したという説があるが、その根拠は疑わしい。そういう抗体を日本人だけがもっていることは考えられない。

アジアで死者が少ない原因としては、人種的な要因も考えられるが、これではドイツやフランスの死亡率が低い原因は説明できない。むしろ感染症はこのように途中で消えるのが普通で、今回のCOVID-19はイタリアで強毒型に変異したのではないか。

21世紀の他の感染症をみても、SARSもMERSも途中で消えており、その原因は不明だ。SIRモデルでは基本再生産数がずっと同じで、感染した人が増えてピークアウトすることになっているが、これは実際のデータに合わない。世界的に爆発した感染症はスペイン風邪ぐらいだが、これはインフルよりも戦場での細菌などによる死亡が多かった。

こいう問題点は、ハーバード大学のMichael Levittも指摘している。SIRモデルのように何もしないと感染が単調に増えて指数関数的に爆発する現象は、どこの国でも起こっていない。

初期には感染が急増するが、2週間ぐらいで感染の拡大は鈍化し、成長は減速する。これは最初に高齢者や基礎疾患のある人が感染し、その後は体力のある人に感染するからだ。こういう人口の異質性を考慮すると、減速するのは自然である。

その減速が「社会的距離」やロックダウンのおかげだというのも実証されていない。新型コロナの例でいうと、日本と欧米の死亡率の100倍以上の差は、そんな要因では説明できない。BCG接種による自然免疫のような要因があるはずだ。

こういう問題は10年前の新型インフルのときからあったが、世界の感染症の専門家は100年前のSIRモデルにとらわれてきた。その失敗の最たるものが西浦モデルである。今度こそ古い理論にとらわれないで、新しい現実を説明する必要がある。