緊急事態宣言からほぼ2週間たったが、新規感染者数は600~700人で頭打ち。死者は減り始めて毎日5~10人だ。特にすぐれた対策をしたわけでもない日本が、新規感染者数でアメリカの1/100、新規死者数で1/400なのは、偶然ではありえない。これは日本だけではなく東アジア全体にみられる傾向で、次の図のように東欧にもみられる。

東欧
新型コロナの死亡率(札幌医科大学)

こういうコロナ死亡率が低い国の共通点として、次のような要因が考えられる。
  1. 情報統制:政府が情報操作で少なく見せている
  2. 所得:貧しい国が多いのでコロナの検査が少ない
  3. ウイルスの変異:弱毒性のウイルスが先に感染した
  4. 免疫:中国との人の交流が多く免疫がついていた
  5. BCG接種の義務化:BCGで「自然免疫」が活性化された
1はワイドショーでやっている陰謀論だが、問題にならない。2についてはBCGを義務化していない高所得国の死亡率が高いという論文も出ているが、これだけでは日本は説明できない。またスペイン/ポルトガルやイギリス/アイルランド、旧西ドイツ/旧東ドイツの差も説明できない。

今のところ反証のないBCG仮説

3は武漢では強毒性のL型コロナウイルスが流行したが、それが変異して弱毒性のS型になったという説で、論文も出ている。

次の表のようにフランスやドイツではS型がゼロで、日本(60%)や韓国(50%)では多いという違いはあるが、感染率との相関が弱い。S型がゼロのタイやシンガポールでは感染率は低い。他方で(この表にはないが)イギリスやベルギーはS型が100%で、相関は崩れている。

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4は実証研究はないが、コロナウイルスが日本に上陸したのが1月ということは考えにくい。昨年12月末からインフルエンザの患者が減ったとき、コロナ(S型)が流行して、普通の風邪と診断されたのかもしれない。これは抗体検査でわかるはずだ。

こうした要因では東アジアは説明できるが、東欧は説明できない。これを説明できるのは5のBCG仮説だけで、旧西ドイツと旧東ドイツの差を説明できるのもBCG仮説だけである。おもしろいのは南米の死亡率で、全体に東アジアと同じぐらい低いが、南米で唯一BCG接種を義務化していないエクアドルの死亡率が他の国の2倍以上ある。

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南米の死亡率(札幌医科大学)

ただBCG仮説にも限界があり、武漢やダイヤモンド・プリンセスや大邱のような感染爆発で高密度の感染が起こった場合は説明できない。BCGでできるのは新型コロナの抗体ではなく、非特異的な自然免疫なので、効果に限界があるのだろう。