WHOと中国政府によるCOVID-19についての報告書が発表された。かなりわかりにくいので、日本人にとって大事なデータだけ急いで要約しておこう。いうまでもなく私は医学の専門家ではないので、厳密な記述は上のリンクから読んでください。
  • 感染の拡大は止まった:1月には1日4000人を超えた新たな感染者の確認が、最近は数百人に減った。

    fig1
    1日に確認された感染者数の推移

  • 武漢とそれ以外の地域の状況はまったく違う:中国全土の致死率は3.8%だが、武漢では5.8%、その他の地域では0.7%だった。
  • 致死率も大幅に下がった:1月初めには武漢で20%以上だった致死率が、2月中旬には中国全土で1%以下に下がった。

    fig2
    致死率の推移

  • 感染力はやや強い:新型コロナの感染力を示す基本再生産数R0は、中国全土で2~2.5であり、インフルエンザの2前後に比べるとやや高い。
  • 主要な感染経路は家庭だった:感染の起こった344のクラスタのうち、78~85%は家庭内の感染だった。
  • 子供から大人に感染したケースはない:18歳以下の子供の感染率は低く、すべて家庭内で親から感染したものだ。逆に子供から親に感染したケースは報告されていない。
まだ楽観はできないが、中国の感染は終息に向かっているとみていいだろう。日本が1ヶ月ぐらい遅れてこういう状況になるとすると、新たな患者の発生は今週あたりでピークアウトする可能性もある。少なくとも感染が爆発的に拡大するリスクは小さいと考えていいのではないか。

武漢以外は「感染爆発」していない

この記事に対して橋下徹氏から「中国がピークアウトしたから日本もするという予想は甘い」という批判があったが、それは論理的にはおっしゃる通りである。日本でも感染爆発する可能性はあるが、次の図のように中国でも武漢以外では爆発していない。

wuhan

日本が「湖北省以外の中国」ぐらいになるとしても、感染者は1000人/日。昨シーズンのインフルエンザの30万人/日に比べると十分余裕がある。今の日本の感染者は最大20人/日ぐらいなので、爆発を心配する段階ではない。

報告書によると、主な症状は

 ・発熱:87.9%、
 ・せき:67.7%、
 ・倦怠感:38.1%、
 ・痰33.4%、
 ・息切れ:18.6%、
 ・喉の痛み:13.9%、
 ・頭痛:13.6%

感染者の80%は症状が軽く、命にかかわる重症の患者は6.1%だった。重症や死亡のリスクが高いのは60歳を超えた人で、80歳を超えた感染者の致死率は21.9%だった。また合併症の患者は致死率が高く、

 ・循環器疾患のある人:13.2%、
 ・糖尿病:9.2%、
 ・高血圧:8.4%、
 ・呼吸器疾患:8.0%、
 ・癌:7.6%

などとなっている。最後の「評価」の部分は中国政府の対応の自画自賛で、この報告書にも「大本営発表」だという批判があるが、そういう点を割り引いて読んでも資料としての価値は十分ある。

特にコロナの特徴として「インフルエンザと違って子供への感染が少ない」とわざわざ書いていることは、日本政府の一斉休校に対する注文とも読める。