新型インフルエンザ 世界がふるえる日 (岩波新書)
新型コロナウイルスは未知の病原体ではない。これとよく似ているのが、2009年に大流行した「新型インフルエンザ」H1N1である。これは世界全体で1万4000人以上の死者が出たパンデミックだったが、日本の死者は193人と季節性インフルエンザより少なかった。

新型インフルエンザと新型コロナの共通点は、人類にまったく免疫がなかったことだ。この点で季節性インフルエンザとは異なるが、もとは同じものだ。いま季節性インフルと呼ばれているウイルスは、2009年に新型インフルと呼ばれたウイルスが変異したもので、人間は部分的に免疫をもっている。

だから対策にも、本質的な違いはない。早めにワクチンを開発して免疫をつけることがベストだが、急速な流行が起こるとそれが間に合わない。1918年に起こった「スペイン風邪」もH1N1型だったが、ワクチンが開発できなかったため、全世界で4000万人以上が死亡した。被害を拡大した最大の原因は、患者が急増して病院のベッド数を超え、医療が崩壊したことだ。

本書はいろいろな「新型」インフルをごちゃごちゃに説明しているのでわかりにくいが、人類とウイルスの戦いはつねにウイルスの勝ちである。ウイルスは絶えず変異して「新型」になるので、ワクチンのきかない感染症はつねに出てくる。その拡大を防ぐには、接触を避けて感染スピードをゆるやかにし、病院のキャパシティを超えないようにするしかないのだ。

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