日本中が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で大騒ぎだが、こういう疫病は歴史的には珍しいものではなく、それがパンデミック(世界的流行病)になって歴史を変えたことも少なくない。史上最大の帝国を築いたモンゴル帝国が14世紀にあっけなく崩壊した一つの原因は、黒死病(ペスト)の大流行だと考えられている。

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地球の平均気温の推定(Wikipedia)

図のように地球は14世紀から小氷河期に入り、寒さで免疫力が低下し、農業生産も激減した。黒死病はアジアで発生したが、シルクロードを通ってヨーロッパに広がったので、それを伝えた遊牧民のモンゴル帝国は崩壊し、ヨーロッパの人口も黒死病で半減した。

この時期に生まれたのがプロテスタンティズムである。治療の方法もない疫病が多くの人を殺す時代には、誰が死ぬかは神があらかじめ決めた運命だというルターやカルヴァンの宿命論が説得力をもった。それを信じる者だけが天国に行けるという単純な教えは疫病のようにヨーロッパに流行し、凄惨な宗教戦争を生んだ。

この宗教戦争に勝ち抜いたのは重火器で武装した国であり、その経済力を支えたのが資本主義だった。黒死病は宿主を殺し尽くすと終わったが、資本主義は国家に寄生して世界に広がった。それはウォーラーステインのいうように富の追求という単純な原理で国家を包摂する世界=経済を築き、植民地に寄生する疫病になったのだ。

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