昨年発表されたIPCCの土地利用に関する報告書では、大気中のCO2が増えると、温暖化で地球が砂漠化して食糧生産は低下し、穀物価格は2050年までに中央値で7.6%(最大23%)上昇すると予想しているが、これはおかしい。炭素は光合成で植物の生長を促進するので、CO2が増えることは肥料と同じ効果(施肥効果)があるからだ。

この効果はIPCCも認めている。次の図は国立環境研究所の増冨祐司氏がIPPCの第4次評価報告書をもとに描いたものだ。温帯・寒帯(中・高緯度域)では産業革命前から3℃上昇までは小麦の収量は増加するが、熱帯(低緯度域)では減少する。これは熱帯の気温がもともと小麦には高すぎるためだ。

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地球温暖化による農業生産の変化

他方でCO2の施肥効果は、濃度が今の400ppmの2.5倍になっても単調に増加する。ここでC3作物と書かれているのが、米や小麦などの穀物である。こういう効果を考えると、温帯や寒帯では、CO2の増加や温暖化で農業生産が低下することは考えられない。カナダやシベリアは穀倉地帯になり、日本でも北海道の農業生産は増えるだろう。

問題は熱帯である。IPCCは次のように予測している。
土地が劣化すれば生産性が下がり、栽培できる作物が制約を受けて、土壌の炭素吸収能力も低下します。そうなれば、気候変動が激しくなるばかりか、気候変動自体がさまざまな形で土地劣化を助長することになります。

砂漠化が起きている区域には、およそ5億人が暮らしています。乾燥地や砂漠化区域は気候変動や、干ばつ、熱波、砂塵嵐などの異常気象の影響を受けやすく、世界人口の増加がさらに圧力を加えています。
これは本当だろうか。

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