安倍晋三と社会主義 アベノミクスは日本に何をもたらしたか (朝日新書)
安倍首相の政策は、祖父である岸信介の政策によく似ている。その根底に戦前の国家総動員体制があることは、私も何度か指摘したことがある。 この意味で安倍首相の政策を社会主義と呼ぶのは新しい話ではないが、彼が三輪寿壮に強い関心をもっていることは本書で初めて知った。

三輪は岸の大学時代の同窓で、戦前には無産政党の指導者だった。戦後は右派社会党を指導して、左右社会党を統一した。他方で岸は保守合同を実現し、自民党と社会党は政権交代できる二大政党になるはずだったが、三輪は統一直後に死去した。岸はその社会党葬で弔辞を読み、「これで政権を渡す相手がいなくなった」と嘆いたという。

岸の経済政策は、産業政策や社会保障を重視する「大きな政府」だった。国民年金や国民健康保険を国民皆保険にしたのも岸内閣である。安倍首相もそういう社会主義の遺伝子を受け継いでおり、財政・金融を拡大するアベノミクスは、世界的にみると「反緊縮」を主張する左派の経済政策だ。それが長期政権になった原因だが、日本経済の長期停滞の原因でもある。

続きは2月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。