21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩
啓蒙主義は退屈である。人類の直面している問題はテクノロジーで解決できるという進歩主義は軽蔑され、アドルノ=ホルクハイマーのように「啓蒙の生んだテクノロジーが人類のコントロールを超えた」と批判するのが知識人だと思われている。

しかし彼らの終末論的な予想に反して、1900年に約30歳だった世界の平均寿命は今は71歳になり、1800年に世界の人口の90%を超えていた極貧層(1日の所得2ドル以下)は10%以下になった。本書のアメリカ的な啓蒙主義に思想的な深みはないが、それによって人類は幸福になったのだ。

テクノロジーは平和と安全をもたらした。核兵器によって戦争は大きく減り、20世紀後半は歴史上もっとも平和な時代になった。原子力は、毎年100万人が大気汚染で死んでいる石炭よりはるかに安全なエネルギーである。それは地球温暖化の合理的な解決策でもある。

不安定な再生可能エネルギーは、化石燃料の代わりにはならない。それを「自然エネルギー」と呼ぶのは間違いだ。太陽光発電も風力発電も高度なテクノロジーであり、環境破壊の原因である。エコロジストの元祖スチュワート・ブランドも指摘したように、大昔から人類は農林業で自然を破壊して生き延びてきた。これからも人類の問題を解決するのは、不自然なテクノロジーしかないのだ。

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