「地球温暖化」の不都合な真実
地球温暖化が人類最大の問題かどうかは議論の余地があるが、それが人類の直面する最も複雑な問題であることは間違いない。そもそも温暖化が起こっているかどうかという根本的な科学的事実が確認されていない。

それを疑う人を温暖化懐疑派と呼ぶとすれば、著者はその一人だが、彼は科学者ではないので、IPCCの報告書を反証するデータをもっているわけではなく、それに代わる理論を提示するわけでもない。多くの疑惑を示すだけだ。

国際機関に集まった数百人の科学者が20年以上にわたって嘘をつき続けることは考えにくいが、そのインセンティブはある。地球温暖化が起こるという研究には多額の研究費がつくが、起こらないという研究にはつかないからだ。ホッケースティック曲線をめぐるスキャンダルは、IPCCが疑惑のデータを撤回することで決着した。

そういうバイアスを割り引いて考えても、次の図のようにここ50年ほど地球の平均気温が上がり続けているトレンドは否定できない(2015年以降は下がっているが)。問題はその原因が何かということだ。

ComparisonFigure_2018-1024x582
温室効果の原因の90%以上は雲と水蒸気であり、CO2の効果は2%以下だ。雲や水蒸気は産業革命の前も後も変わらないのに気温が上がっているのはCO2が原因だ、というのがIPCCの主張だが、太古の地球ではCO2濃度は今の5倍以上だった。

現在の気温が史上最高でもない。1000年前の「中世温暖期」には今より気温が高く、グリーンランドはグリーンだった。今後の温暖化でグリーンランドの氷が溶けても、中世と同じぐらいになるだけだ。それによって海面が上昇するのは最大で80cm程度。先進国では堤防で防げる。

途上国にはエネルギーが必要だ

最大の問題は費用対効果である。CO2と温暖化の因果関係には疑問が多く、温暖化を防ぐコストは大きい。パリ協定を完全実施しても、2100年に産業革命前より2℃上昇にとどめるという目標は実現できない、とIPCCも認めている。

国連は2050年にCO2排出ゼロという野心的な目標を世界各国に認めさせようとしている。それを世界中の国が実行しても2℃目標は実現できないが、GDPは30年で20%ぐらい下がる。金持ちの国にとってはそれでもいいかもしれないが、飢餓線上にある国にそれを求めるのは、パンのない人に「ケーキを食え」というようなものだ。

温暖化の被害を受ける途上国では、電力もなく薪を燃やして森林資源が破壊され、大気汚染で毎年数百万人が死んでいる。彼らが求めるのは地球温暖化の防止ではなく、エネルギー供給である。安定した送電インフラがなく原子力も再生可能エネルギーも実用化できない国では、化石燃料が生命を維持するインフラなのだ。

私は著者のようにパリ協定に反対するつもりはないが、それは「なるべく化石燃料を使わない」という努力目標と考えるべきで、日本が26%削減という約束にコミットする必要はないと思う。