はじめての憲法 (ちくまプリマー新書)
安倍政権の残された最大のテーマは憲法改正だが、今のところ自民党内の合意もできていない。公明党の合意は絶望的だ。それでも安倍首相がこの問題にこだわるのは「押しつけ憲法」の改正が自民党の結党以来の悲願だからだろう。

他方で一部の憲法学者は、それが押しつけではなく、終戦で主権者になった日本国民が「八月革命」によって制定したものだというが、この主張に対応する歴史的事実はまったく存在しない。どっちにも共通するのは、憲法が民主的正統性に弱点を抱えているという認識である。

この背景には主権者たる国民が憲法を制定するというドイツ国法学の発想があるが、憲法を書いたのはアメリカの法律家である。彼らにとってはそんな観念論はどうでもよく、憲法は連合国が提案して日本が受諾したポツダム宣言の具体化だった。それは日本と連合国の社会契約だったと著者は考え、この契約を「ポツダム・プロセス」と呼ぶ。

占領で日本の国家主権が制限されたことが国際法違反だというのが保守派の一部の主張だが、当事者の合意した契約は一般法に優先する。日本政府が降伏文書に調印したときポツダム・プロセスが始まり、サンフランシスコ条約で終わった。その根底にあった概念はドイツ的な「主権者」ではなく、英米的な国際法にもとづく契約だった。

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