イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観 (河出新書)
イスラム原理主義は狂信的なテロリストとしか見えないが、コーランには「神も終末も信じない者と戦え」と書かれている。日本では、この点を曖昧にして「本来のイスラムは平和的だ」という人が多いが、むしろ本来のイスラムの教義にもとづくジハード(聖戦)を各国政府が抑圧してきたのだ。

その抑圧がはずれたのが、2010年代の「アラブの春」だった。独裁政権が崩壊して民主化するという期待とは逆に、政府の権力が弱まって国内が混乱すると「イスラム国」のような原理主義の活動が強まった。これを著者は「イスラム2.0」と呼ぶ。

従来のイスラム1.0は、コーランやハディース(ムハンマドの言行録)の解釈の体系だった。そのテキストは膨大で、ほとんどのイスラム教徒は文盲だったので、その解釈は法学者が独占していた。ところが識字率が上がり、インターネットの普及でコーランなどを直接読むことができるようになり、一般の信徒が「真の神の教え」に目ざめたのだ。

これはキリスト教の宗教改革に似ている。カトリック教会でもラテン語訳の聖書は教会にしかなく、説教もラテン語で行われたので、一般の信徒にはお経を聞くようなものだった。しかし聖書のドイツ語訳が印刷されると、多くの信徒がそれを読んで教会の教えに疑問を持ち始めた。イスラム原理主義は、キリスト教の歴史を500年遅れで繰り返しているのだ。

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