アメリカは日本の払う米軍駐留経費の日本負担の大幅な増額を求めている、とForeign Policyが報じている。日本の米軍経費負担(いわゆる思いやり予算)は2019年度予算で1974億円で、駐留経費の75%にのぼる。7月に日本を訪問したボルトン国家安全保障担当大統領補佐官(当時)はそれを4倍以上の80億ドルに増やせと要求したという。

同盟国が米軍のコストをもっと負担しろという要求は、トランプ大統領の持論である。今年3月にも「トランプは全同盟国の駐留経費負担を1.5倍に増額するよう求めている」という報道があった。これは国防総省が否定したが、NATO諸国は米軍の撤退を織り込んで防衛費を大幅に増額する。アメリカは韓国には駐留経費負担を5倍に引き上げるよう求めているという。

だが80億ドルというのは実際にかかる経費の3倍以上であり、今までとは意味が違う。これは共同防衛のコストを各国が負担するのではなく、米軍を他国の防衛で利益を上げる「ビジネス」にしようという発想だ。価格が安ければ、米軍が撤退することもありうる。

河野防衛相は「そういう事実関係はない」と否定したが、これから2021年の日米地位協定改定に向けて、こういう話がアメリカから出てくることは十分ありうる。高く吹っかけて交渉するのもトランプの不動産屋的な手法だが、最終的には満額ぐらいで落ち着くとしても、日米同盟は大きく変質する。日本はアメリカの極東戦略に「ただ乗り」できなくなるからだ。

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