ヤマト王権〈シリーズ 日本古代史 2〉 (岩波新書)
即位の礼をきっかけに、皇位後継問題がまた話題になっている。男女同権派が女性・女系天皇も認めるべきだというのに対して、保守派は「男系が日本の伝統だ」と主張する。これは『日本書紀』以降の建て前論としては間違っていないが、現実の天皇家が男系で継承されたとは限らない。

その最大の反例は、天照大神が女神であることだ。皇統が男系なら神話で男系の正統性を語るはずだが、天照大神には性別の記述もない。これは『日本書紀』の出典となった古い層の神話では、男系という思想がなかったことを示唆する。

そもそも600年ごろまでの日本に「大和朝廷」という統一国家があったわけではなく、複数の王権が並立して戦争していたと考えられる。これを本書は「ヤマト王権」と呼ぶが、その実態は古墳が(宮内庁に管理されて)発掘できないため、よくわからない。

『日本書紀』にも、いろいろな神話が混在している。第10代の崇神天皇には「ハツクニシラススメラミコト」という名前がつけられている。これは「初めて国を統治した天皇」という意味だが、神武天皇にも同じ名前がつけられている。初代という意味の称号が2回使われたのはなぜだろうか?

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