今年の8月、厚生労働省の若手チームの出した業務・組織改革のための緊急提言がちょっと話題を呼んだ。これは霞ヶ関でも最悪といわれる厚労省の労働環境について、現場のアンケートをもとに提言したものだ。

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そこには「厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている」といった過酷な労働実態への悲鳴が並び、その大きな原因として「国会関連業務」があげられている。今や「モンスタークレーマー」になった野党への対応が、若手官僚の大きな負担になっていることがわかる。

この原因は日本独特の国対政治だが、そこには普遍的な問題も含まれている。ジョン・ロック以来の近代デモクラシーの原則では、主権者たる国民が選挙で議員を選び、彼らが立法によって政府をコントロールすることになっている。法を執行するのは官僚だが、その解釈は行政から独立した司法が決めるというのが、モンテスキュー以来の三権分立の理念である。

だが、そんな原則を信じている官僚はいない。事務量が膨大になった現代の先進国では、官僚が立法も行政も法解釈も実質的に行う。議会は官僚機構の決定を追認する機関にすぎない。このような行政国家をチェックする制度は、日本国憲法には存在しない。国民主権とか立憲主義とかいうとき、想定されているのは実定法による支配だけなのだ。

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