世襲の日本史: 「階級社会」はいかに生まれたか (NHK出版新書)
現代の常識では、世襲は悪で、実力主義が善である。リーダーが世襲で決まるのは前近代的な血縁集団で、実力で決まるのが近代的な機能集団だといわれているが、現実にはその優劣はそれほど自明ではない。安倍首相もトヨタ自動車の豊田章男社長も世襲である。二代目が劣っているなら、とっくの昔に選挙や市場で淘汰されたはずだが、そうなっていない。

東アジアの中で、日本は世襲がもっとも長く続いた国である。中国では10世紀ごろから、科挙によって実力主義の官僚制ができたが、それは日本には輸入されなかった。その最大の原因は、同じ時期に日本社会で発達した「家」の原理と相容れなかったからだ、と著者は考える。

古代社会は小さな親族集団の連合体を天皇家を中心とする「氏」としてまとめるしくみだったが、中世以降の「家」は武士を中心とする超血縁的な機能集団だった。 そのリーダーは長男が世襲することになっていたが、男が生まれなければ他の家から養子をとることは珍しくなかった。問題はDNAの連続性ではなく、家の連続性だったのだ。

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