中国文明の歴史 (講談社現代新書)
中国を語るとき「漢字文化」とか「漢民族の伝統」という言葉で語るが、そういう文化が 2000年前からあったわけではない。漢字は中国にもともとあった言葉ではなく、古代に中国大陸に集まった多くの民族は、それぞれの口語を使っていた。

漢字はそれとはまったく違う、商人の人工的な共通語だった。もとは取引に使う符号だったので単純で、時制も接続語もなく、感情を表わす言葉がほとんどなかった。複雑な概念を表現するため、漢字を組み合わせて新しい漢字をつくったので、どんどん増えて発音もバラバラになった。

その読み方を統一したのが601年に書かれた『切韻』で、これが科挙の試験に採用された。民族にも身分にも関係なく、すべての男子から官僚を登用する科挙は、教育に大きな影響を与えた。初期の科挙は詩をつくる能力を試すだけだったので、漢字を教える学校がたくさんでき、人々は競って漢字を学んだ。

口語も漢字の文法に合わせて再編され、その組み合わせで表現できるようになった。多くの民族の雑多な言語が漢字で統一され、今の中国語の原型となった。漢民族という概念も、漢字によって生まれた。「中国」という概念はもっと新しく、19世紀にできたものだ。

アゴラ読書塾「東アジアを疑う」では、中国や韓国への先入観を見直し、日本人が彼らを理解できるのかどうかを考えたい。

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