父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
本書は「反緊縮」の元祖となったギリシャの元財務相が書いた、反緊縮の入門書である。その思想のコアは、資本主義の本質は借金であるということだ。資本主義が伝統的社会よりはるかに高い成長を実現したのは、資本家が大きなリスクを取って投資したからだ。それを可能にしたのは、事業に失敗したとき返せない借金を合法的に免除する有限責任のシステムだった。

銀行が企業に融資するとき、預金を集めて貸すわけではない。銀行員が企業の口座にキーボードで「100,000,000」とタイプした瞬間に1億円の貸し出しが行われ、借り入れはその企業の預金口座に振り込まれる。つまり銀行貸し出しが預金を生むのであって、その逆ではない。

だから日常的には、銀行はキーボードをたたいて無限に貸し出しできるようにみえる。銀行は預金のほとんどを企業に貸し出すことができ、それは他の銀行の預金になるので、社会全体では預金の何倍も信用創造ができる。銀行は短期で借りた預金の何倍も長期で貸し出す、危険なシステムなのだ。

しかし企業が借金を返せなくなると、破産処理で銀行が借金を免除する。このとき銀行は巨額の損失をこうむるので、多くの預金者が同時に取り付けに走ると、銀行が破産して信用収縮が起こる。それを防ぐために政府は銀行を救済するが、ギリシャのように政府が破産したら、その借金はどうするのか?

続きは6月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。