年金問題を解決するファースト・ベストの答は、60年前にフリードマンが出している。つまり公的年金という制度が間違っているので、年齢に依存しない負の所得税に一元化することが合理的だ。これは一部の国で行われている勤労所得税額控除(EITC)と原理的には同じで、日本では「給付つき税額控除」と呼ばれている。これで現在の社会保障をすべて置き換えると、所得分配はたとえば次のようになる。

これをベンチマークにして年金制度を考えると、いちばん大事なのは最低保障の機能である。国民年金(月額6万5000円)と同じ水準を保障すると、年収80万円支給しなければならない。これをベーシック・インカムのように全国民一律に支給すると、約100兆円の財源が必要になる。政治的には、EITCのように既存の社会保障の一部を置き換えるのが現実的だろう。

それ以上は所得比例の部分で、この設計はいろいろ考えられる。今の社会保障120兆円をすべて負の所得税に置き換えるのは政治的に不可能だが、これを既存の社会保障にまるまる上乗せすると、一般会計予算は2倍になって激しいインフレが起こり、実質給付は今と変わらない水準に落ち着くだろう。

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