Milton_Friedman_197620世紀の歴史に最大の影響を与えた経済理論はケインズの『一般理論』だが、それに次いで大きな影響を与えたのは、1968年のフリードマンの論文「金融政策の役割」だった。それは自然失業率の概念で、ケインズ以来の裁量的な財政政策を否定した。

これはその後も長く論争になったが、最終的にはフリードマンが勝った。彼の政策はサッチャーやレーガンの政権で実行され、歴史を変えたのだ。中央銀行を政府から独立させて非裁量的な目標でコントロールする制度が1990年代に確立し、「景気循環は終わった」ともいわれた。

しかし2008年の金融危機がそういう世界を変えた。世界は長期停滞に入り、ゼロ金利で金融政策は有効性を失った。最近のマクロ経済学をみると、フリードマン革命も終わったようにみえる。Blanchard-Summersは「もし日本の経験が先進国の先例になるとすれば、必要なのはマクロ経済政策の進化ではなく革命だろう」という。

フリードマンにはもっと根本的な問題意識があった。それは第2次大戦の時期にユダヤ系移民として体験した、全体主義への恐怖と国家への不信だった。彼にとって「小さな政府」は経済的な効率の問題ではなく、国家権力の役割を小さくすること自体が目的だったのだ。それはもうオールド・ファッションになったのだろうか。

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