萩生田発言で始まった「消費税の増税延期」の波が収まらないが、財務省は財政制度審議会の資料で反論している。「名目成長率(g)と金利(r)の関係」に3ページも費やしているのは(名指しで批判していないが)サマーズやブランシャールの長期停滞論に対する反論だと思われるが、このデータは弱い。

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日本でもG7でもr>gだというデータは1981年からの相関係数だけで、時系列データがない。これは時系列で描くと、長期的にr<gとなる傾向が強まっていることがわかるからだろう。r>gになると、政府債務比率が発散する。「名目成長率が名目金利を上回る状況が持続する保証はない」という財務省のコメントは正しいが、今のところそれが逆転する兆候はない。

安倍首相が増税を2度も延期し、黒田総裁が「量的緩和でインフレ期待を起こす」と公言したアベノミクスは、放漫財政と超金融緩和という異常なポリシーミックスであり、財政赤字で金利を上昇させ、金余りでコントロールのきかないインフレと財政破綻をもたらすリスクが大きい――と多くの経済学者が警告した。

ところがインフレは起こらなかったが、財政破綻も起こらなかった。アベノミクスはゼロ金利に賭けるギャンブルだったが、今のところ安倍首相はこのギャンブルに勝ったのだ。しかしなぜ勝ったのかは、彼にもわからない。それは単なるまぐれ当たりだから、問題は金利が上がり始めたとき、どうするのかということだ。

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