生きものとは何か (ちくまプリマー新書)
生物の目的は生きることだが、厳密にいえば同一の<私>が生きているわけではない。体細胞は分子レベルではつねに入れ替わっており、私は1年でほとんど別の物体になる。DNAのゲノム配列は死ぬまで同じなので、<私>とは私の遺伝子であり、進化とは遺伝子がコピーをつくることだ。

だとすると進化の簡単な方法は、単純に細胞分裂することだ。現にバクテリアなど単細胞分裂のほとんどは無性生殖であり、個体数では彼らが地球上の生物の多数派だが、多細胞生物のほとんどは有性生殖だ。それはなぜか、という問題には今も決定的な答はない。

有性生殖は無性生殖よりはるかに複雑で、オスとメスの出会えないリスクも大きい。そういうコストを上回るメリットは何だろうか。著者は有性生殖のほうが多様性が大きいからだというが、これもちょっと考えるとおかしい。自然淘汰で生存に適した個体が生き残るのだから、その親が卵を産んだほうが生き残れる確率は高く、多様化する必要はない。メスは明らかに必要だが、オスは何のために存在するのだろうか?

続きは3月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。