このところ「徴用工」問題でまた韓国との対立が起こっているが、彼らを論理で説得することは困難だ。論理が通じるのは、その前提を共有している相手に限られる。「1+1=3」だと思っている人を数学で説得することはできない。文在寅大統領は「韓国の最高裁判決が日韓請求権協定に優先する」と考えているようなので、日本がその逆を主張しても話は噛み合わない。

国内法と国際法のどっちが優先するかについて普遍的ルールはない。国内法を根拠にして国際法を否定すると、条約や協定が無効になって混乱するが、韓国のように条約を無視すればいい。国際法には法の支配はなく、法を強制する機関もないので、その有効性を保証しているのは当事国の合意だけなのだ。

したがって「日帝36年」の独立戦争に勝利して建国したという歴史(history)=物語(story)を憲法に掲げている韓国政府と、日韓併合を国際法上の合法的な条約だと考えている日本が合意することは不可能に近い。日韓併合条約には両国の政府が調印したが、それは「対等な条約ではなかった」という韓国の主張が100%間違いというわけでもない。

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