株式市場が世界的に変調を来している。私の金融資産の8割はドル建ての投信なので、かなり売ったが、この10年で(ドル高効果も含めて)2倍ぐらいになった。ところが日本人の家計金融資産は、この20年で1.47倍にしかなっていない。同じ時期に、アメリカ人の金融資産は3.11倍になった。

sisan

米英日の家計金融資産(金融庁調べ)

これほど大きな差がついた原因は明らかである。日本人が金融資産の51%をゼロ金利の銀行預金で運用しているからだ。アメリカ人の預金比率は13%で、株式・投信が29%だ。その(労働所得を除いた)運用リターンだけで、20年間に2.32倍になっている。日本人が豊かさを実感できない大きな原因は、この現金志向にある。

政府がキャッシュレス決済の「ポイント還元」などの政策で現金志向を是正しようとしているが、決済なんて大した問題ではない。最大の問題は、金融資産の60%以上をもつ高齢者の現金志向が特に強いため、高齢化で個人投資家が減っていることだ。ゼロ金利と長期停滞はその結果であり、日銀がいくら資金を供給しても変わらない。

続きは12月31日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。