サピエンス異変――新たな時代「人新世」の衝撃
最近の調査によると、運動不足は喫煙より危険らしい。糖尿病や腰痛や肥満の最大の原因も運動不足で、旧石器時代にはほとんどなかった。人類が定住生活に入った約1万年前から、狩猟採集社会に適した遺伝子と定住社会に適応した生活習慣のミスマッチが始まったのだ。

ホモ・サピエンスの歴史の大部分は移動生活だったので、その身体は運動してエネルギーを消費しないと劣化する。移動生活では糖質はほとんど摂取しなかったが、農耕生活に入ってからはカロリーの多い炭水化物を大量にとるようになった。このため糖質をとって運動しないと太り、心臓病や糖尿病で早く死ぬ原因になる。現代人の死因の多くは、こうした「ミスマッチ病」である。

ミスマッチは、人新世(Anthropocene)でさらに大きくなるだろう。これは人類が地球環境を大きく変えて新たな地質時代が始まるという考え方で、国際地質学会でも1万1700年前からの「完新世」の次の地質時代として採用することが検討されている。近代文明が地球環境にもたらした変化は、氷河期に匹敵するほど大きいからだ。その環境変化は産業革命のころから始まったが、変化の大きさは20世紀が最大だという。

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