ゴーン事件は各社の報道で徐々に全容がわかってきたが、まだ辻褄のあわない部分が多い。最大の謎は、なぜ最高経営者を逮捕という荒っぽい方法で引きずり下ろしたのかということだ。ゴーンと経営陣の間に紛争があったことは事実らしいが、普通は社内で処理するだろう。それがいきなり刑事事件になった原因には、いくつかの推測がありうる:
  1. 社員からの内部通報で不正が判明し、検察に相談した
  2. 検察の内偵で虚偽記載が追及され、司法取引に応じて情報を提供した
  3. 社内の「反ゴーン派」が既知の不正を利用してクーデタを決行した
1は記者会見で西川社長の説明したストーリーだが、有価証券報告書で「株価連動型インセンティブ受領権」の欄が会長だけ0円になっている単純な虚偽記載に、経営陣が今年の内部通報まで気づかなかったとは考えにくい。他の私的流用も社内では公然の秘密だったといわれ、今ごろわかった話ではないだろう。

では2のように捜査の手が及んで、経営陣がゴーンをスケープゴートにして逃げようとしたのか。これも考えにくい。検察の捜査は普通、内部からの売り込みで行われるが、ゴーンが逮捕されると日産にとって大きな打撃になる。事情を知る社員が、社内の手続きを飛び越えて検察に通報することは、常識では考えられない。

となると消去法で、3のような見方になる。これについては社長会見で否定していたが、FTは「日産・ルノーの統合を計画していたゴーン氏」という記事を出している。ゴーンが日産をルノーに経営統合しようとして日本の経営陣と対立し、経営陣がゴーンを解任するために検察を利用したという話だ。今のところ推測の域を出ないが、これが一番ありそうな話だ。

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