心の進化を解明する ―バクテリアからバッハへ―
ホモ・サピエンスの最大の特徴は言語をもっていることだが、その原因ははっきりしない。チンパンジーにもプリミティブな言語はあり、イルカにも音声コミュニケーションはあるが、人類の言語は格段に複雑で柔軟だ。本書もいろいろな説を紹介しているが、音声は証拠として残らないので決定的な答はない。

ただ多くの人類学者が同意するのは、人類の真社会性(巣をつくって社会的分業を行う能力)が言語の原因であって、その逆ではないだろうということだ。言語なしでも叫び声や身振りで共同作業はでき、そういう民族もいるからだ。では言語がここまで複雑に発達したのはなぜだろうか。

この答を本書はミーム(文化的遺伝子)に求める。それはDNAで遺伝するものではなく慣習や教育で伝えられるので、生物学者には疑わしい比喩だと思われているが、人類が短期間にここまで繁殖した最大の原因は文化の蓄積だ。ミームは人類の脳に「感染」して人類の共同作業を容易にし、人類の繁殖で爆発的に拡散したウイルスのようなものであり、その感染を媒介したのが言語である。

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