中国を攻撃するトランプ大統領の方針は単なる保護主義ではなく、アメリカ政府の中で孤立しているわけでもない。それを示すのが、共和党の本流を代表するペンス副大統領が10月に行った、中国を激しく批判する演説である。Economist誌もこれを特集し、ペンス演説は「新しい冷戦の不吉な進軍ラッパのように聞こえる」と評した。

チャーチル首相は、1946年に「バルト海からアドリア海までヨーロッパ大陸に鉄のカーテンが降ろされた」と演説し、冷戦の開始を宣告した。だがその後も西側には「平和共存」を信じる人が多く、日本でも「全面講和」や「安保反対」を唱えた人々は、西側が社会民主主義になる一方、東側は市場経済を取り入れて「東西の収斂」が起こると予想していた。

その後の歴史はそれが幻想であることを示したが、冷戦の終了後、今度こそ収斂が起こると多くの人が考えた。特に市場経済化で成長した中国が政治的にも民主国家になるという期待が大きく、アメリカは中国のWTO(世界貿易機関)加盟を容認するなど、中国と和解する関与(エンゲージメント)政策を取った。しかしその後も中国の民主化は進まず、むしろ異質な文明としての性格を強めている。ペンス演説は第二の「鉄のカーテン」演説になるのだろうか。

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