「リーマンショック」から10年。金融危機の再来を心配する声が世界的に高まっているが、今の銀行システムが続く限り、そのリスクは残る。金融危機の本質は資産バブルの崩壊ではなく、銀行の取り付けだからである。取り付けの原因は単純だ:預金の大部分は企業への貸出に使われて信用創造が行われるので、すべての預金者が同時に預金を引き出すと、銀行は必ず破綻するからだ。

だから取り付けをなくす方法も単純だ:預金(決済機能)を貸出から切り離し、信用創造をなくせばいい。銀行が預金をすべて政府や中央銀行に預け、引き出しに100%応じられるようにするのだ。銀行をそういう決済機能に特化したナローバンクにする規制案は1930年代からあるが、銀行業界が反対して実現しなかった。決済機能だけでは、収益が上がらないからだ。

ところがアメリカでは、みずから"The Narrow Bank"(TNB)と銘打つ銀行が登場した。これは預金をすべてFRBへの準備預金で運用する銀行だが、FRBはTNBの口座開設を拒否した。その理由は不明だが、先月TNBはFRBに対して開設を求める訴訟を起こした。これをシカゴ大学のコクランが「ナローバンクは金融危機をなくすイノベーションだ」と擁護している。

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