ヒトの心はどう進化したのか: 狩猟採集生活が生んだもの (ちくま新書)
今週から始まるアゴラ読書塾「進化論的に考える」(まだ受け付け中)は、理系のテーマのようにみえるが、中身は文系である。社会科学を自然科学と統合しようという試みは昔からあり、それに成功した(ように見えた)唯一の例外がニュートン力学をまねた新古典派経済学だが、そういう「数理**学」の試みは他の分野では成功しなかった。

それに対して生物学による「科学の新しい統合」を提唱したのが、1975年のE.O.ウィルソンの大著『社会生物学』だった。これは大論争を巻き起こしたが、最近の『人類はどこから来て、どこへ行くのか』に至るまで、彼の主張は変わらない。それは初期に誤解されたような生物学的決定論ではなく、動物の集団行動は遺伝的に制約されているという当たり前の話だ。

人類の場合は、600万年の歴史の大部分が狩猟採集社会だったので、今では無意味な集団行動が発達している。たとえば宗教には現実的な利益はないが、どこの社会でも普遍的にみられる。これは何かを信じて集団を守る感情の強い個体が、狩猟採集社会の集団淘汰で生き残ったためと思われる。このように人間の行動を進化で説明するのが進化心理学で、さまざまな分野に影響を与えているが、社会科学を統合できるだろうか。

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