きょう菅官房長官がようやく「泊原発を直ちに再稼動することはありえない」という見解を記者会見で表明した。それは「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた原発のみ、原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める」というのが安倍政権の方針だから当然だが、この方針には法的根拠がない。

安念潤司氏など多くの法律家が指摘するように、原子炉等規制法は「これらの許認可に関する審査を、原子炉の運転を継続しながら行う仕組み」をとっており、審査が終わらなくても運転できる。それどころか炉規制法には「発電用原子炉の再稼働を認可する規定はない」(したがって規制委員会に認可する権限はない)という政府答弁書が出ているのだ。

泊で争点になっている活断層問題にも、法的根拠がない。2012年に改正された設置許可基準には「耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない」と規定され、それが「後期更新世以降(約12~13万年以前以降)の活動が否定できない断層」の問題になっているが、これは新設する原発の基準である。

それを過去に建設された原子炉に遡及適用するバックフィットは、法的に規定すれば可能だが、炉規制法にはその具体的な規定がない。「新規制基準に適合すると認められた原発のみ再稼働を進める」というのは政治的リップサービスであり、安倍首相が「変更する」といえばいつでもできるのだ。もちろんそれは大きな反発を招くだろうが、原子力規制委員会は反対できない。それは彼らの権限ではないからだ。

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