日本型資本主義-その精神の源 (中公新書)
非西欧世界で日本だけに資本主義が自生したのはなぜか、というのは多くの歴史学者が取り組んできた問題だが、明快な答は出ていない。最近では資本主義は普遍的な経済システムではなく、18世紀のヨーロッパに一度だけ出現した突然変異のようなものだった、というのが通説的な理解になりつつあるが、だとすれば極東の日本がそれを輸入してうまく行ったのはなぜか。

その原因が江戸時代にあったことは、ほぼ間違いないだろう。本書はその答を社会資本(social capital)の蓄積に見出すが、その源泉は何だったのか。一つの有力な答は勤勉革命説だが、著者はこれを「おそらく経済理論的に整合的な仮説としては成立しない」としりぞける。もう一つは日本を含む東アジアを「儒教資本主義」とする説だが、これも実証的に成り立たないという。

では社会資本が蓄積された原因は何か。それは「鎌倉新仏教による道徳律の確立」だというのが本書の仮説である。著者はそれがプロテスタンティズムに似た役割を果たしたというのだが、この仮説には疑問が多い。そもそも元のウェーバー説が、現在ではほぼ否定されている。プロテスタントの国だけで資本主義が成功したわけではなく、その教義(予定説)が資本主義の精神になったという証拠もない。

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