Fear Itself: The New Deal and the Origins of Our Time
日本でいう「リベラル」のイメージのもとは「大きな政府を求める平等主義」というアメリカ民主党だが、その原型は1930年代のニューディールである。それはルーズベルトがつくったものと思われているが、必ずしもそうではなく、平等主義でもなかったと本書は論じている。

1930年代のアメリカを支配したのは恐怖だった。大恐慌で資本主義は危機に瀕し、ヨーロッパではファシストが政権を掌握していた。デモクラシーの時代は終わり、独裁的な指導者が経済に介入することが世界の潮流だと思われた。しかし合衆国憲法では、立法は議会の役目であり、彼らは大統領権限の強化に抵抗した。

ルーズベルトはこれに対抗するため、議会と取引した。民主党が圧勝した議会の多数派は、南部の白人だった。彼らは黒人の投票権を制限し、南部を支配していた。大恐慌による農業不況で窮地に陥った彼らは、連邦政府の救済を求めた。ルーズベルトは彼らと組んで社会保障法や最低賃金法を成立させたが、その対象から農業労働者(黒人)を除外し、労働者キャンプでは黒人を分離した。ニューディール立法の中心になった議員は、KKKのメンバーだった。

外交的にもヒトラーと戦うために、ルーズベルトはスターリンと組んだ。そういう「ファウスト的な取引」によって政府が経済に介入し、国民を戦争に動員した結果、ニューディールは大成功を収め、戦後の政治の方向を決めてしまった。

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