日銀があすから行う金融政策決定会合で、物価見通しを下方修正するという観測を受けて、長期金利が1年ぶりに0.1%台に乗せた。「イールドカーブ・コントロール」などというのは幻想で、金利が本格的に上がったら、日銀がいつまでも買い支えることはできない。長期的な物価水準を決めるのは政府だからである。FTPLの物価決定式でいうと、

 物価水準=名目政府債務/実質財源

ここで分子の名目政府債務は割引現在価値で、それを割り引くのは名目金利だが、分母の実質財源(プライマリー黒字)を割り引くのは実質金利で、その均衡水準を自然利子率と呼ぶ。これが下がると分母が増え、物価が下がる。微小な金利の変化でも、長期の現在価値は大きく変わる。自然利子率が、たとえば3%下がると、今後20年の現在価値でみた均衡物価水準は45%下がる。

次の図は日銀が推計した自然利子率の推移だが、1990年代に日本の自然利子率は3%以上も下がった。これが長期にわたるデフレの最大の原因である。自然利子率は実物変数であり、日銀が動かすことはできない。それがこれほど大きく下がったのはなぜだろうか。

自然利子率


続きは7月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。