自民党本流と保守本流 保守二党ふたたび
自民党の総裁選挙では岸田文雄氏が不出馬の意向を表明し、石破茂氏との一騎打ちになる公算が大きいが、大勢はほぼ決した。安倍首相が伝統的な保守からリベラルまでカバーしてしまったからだ。自民党には、1950年代の自由党と民主党の流れがある。前者が石橋湛山から宏池会に至る「保守本流」で、後者が岸信介以来の「自民党本流」だと本書はいうが、安倍首相はそれを合流させてしまったのだ。

著者は自民党が割れて「保守二党」になるべきだというが、その対立軸は何だろうか。本書のいうような安全保障は、もう対立にはなりえない。憲法改正も、実質的には大した問題ではない。経済政策では保守本流の「福祉国家」と自民党本流の「財政再建」の対立があったが、これはゼロ金利の時代には争点にならない。岸田氏も石破氏も財政再建論者だと思うが、いま増税を打ち出して選挙には勝てない。

保守二党になる可能性があるとすれば、それは自民党の結党前に戻り、自由党と民主党にわかれるしかないだろう。そのヒントは、石橋の「小日本主義」にあると思う。

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