デモクラシーは普遍的な制度ではなく、これからそうなるとも限らない。それは歴史的には、西ヨーロッパだけに生まれた特殊な制度だ。歴史の教科書では、今も世界の歴史は古代→中世→近代という順で発展してきたと教えるが、古代とも近代とも区別される「中世」は、中国にもロシアにもイスラム圏にも存在しない。

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中世と呼ばれる時代があったのは、日本と西ヨーロッパだけだ。その原因は、図のような梅棹忠夫の「生態史観」によると、日本と西ヨーロッパが乾燥地帯から離れていて、戦争のために集権化する必要があまりなかったからだ。つまりもともと一つだった世界が、18世紀以降に「大分岐」でヨーロッパとアジアにわかれたのではなく、もともと別の世界だったのだ。

アジアの中で日本だけが西ヨーロッパと似ているのも、遊牧民の脅威が大きくなかったため、平和な連邦国家ができたからだ。これを「封建制」と呼ぶのはミスリーディングで、中国には分権的なfeudalismはなかった。特殊ヨーロッパ的なデモクラシーが、アジアで日本だけに根づいたのも偶然ではない。

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