世界史序説: アジア史から一望する (ちくま新書)
個別の地域や文化圏を超えた普遍的な「世界史」が書けるのかというのは、むずかしい問題である。「唯物史観」がその答だと思われた時代もあったが、今そんなものを信じる人はいない。最近では「世界システム論」が歴史学界の主流になりつつあるが、それもヨーロッパ近代を中心とする唯物史観の変種である。

では「アジア中心の世界史」が書けるのかというと、これはもっとむずかしい。ポメランツ以降のカリフォルニア学派はヨーロッパ中心史観を否定し、18世紀の「大分岐」でヨーロッパが先進国だった中国を逆転したというが、では分岐する前には統一的な世界があったのかという疑問には答えていない。

本書はあえてアジアを中心に、世界史を書き直す試みだ。もちろん新書1冊で世界史が書けるはずがないので、具体的な歴史記述は荒っぽいが、われわれが無意識に信じている通念を疑うきっかけにはなる。著者の仮説は、近代以前の世界史を動かした最大の要因が遊牧民だということである。

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