科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで (ブルーバックス)
本書は科学史のおさらいだが、おもしろいのは著者(物理学者)がカトリックの聖職者でもあることだ。だから彼は「物理学が神の存在を証明している」というのだが、これはある意味では正しい。キリスト教の神の正体はよくわからないが、宗派を超えて共通なのは、それが唯一神だということだ。それは物理学の前提でもある。

この宇宙が一つしかなく、アンドロメダ星雲でも地球と同じ万有引力が通用するという事実は証明できない。今のところそういう推測に反する事実は見つかっていないが、見つかる可能性は否定できない。本書によると、ジョルダーノ・ブルーノは「無数の宇宙が存在する」と主張して異端審問にかけられたという。

この宇宙に法則が一つしかないというのは物理学者の信仰にすぎないが、その法則を「神」と呼べば、キリスト教とほとんど同じだ。ニュートンも彼の運動方程式は神の存在証明だと考えていた。ここで本質的なのは法則が唯一だという信仰であって、それをどう呼ぶかではない。カント以降の近代哲学の目的は、その信仰を証明することだったが、いまだに成功していない。

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