政治の衰退 上 フランス革命から民主主義の未来へ
議会によるデモクラシーはここ200年ほどヨーロッパに生まれた制度であり、近代国家の必然ではなく、唯一のモデルでもない。今のところは成功モデルとされているが、多重のチェック機構があるので、合意形成に時間がかかり、効率が悪い。もっとも効率的に意思決定できるのは独裁国家である。

この効率とチェックのトレードオフが、近代国家の抱える問題である。チェックを重視する権力分散がアメリカ型で、意思決定を内閣に集中するのがイギリス型だが、著者はアメリカ型を高く評価していない。政府と議会がバラバラに意思決定し、官僚制が機能しないので金のかかる司法が強く、政治家は腐敗している。

これに対してイギリス型に近い日本では、清潔で優秀な官僚機構に権力が集中し、成功したというが、「決められない政治」は似たようなものだ。政治家が金で動く傾向はアメリカほどひどくないが、政権交代がないので政治の転換がむずかしい。

世界全体をみるとデモクラシーは少数派で、21世紀に入って中国やロシアのような独裁国家が成長している。欧米人は「自由のない国家はいずれ没落する」といい続けてきたが、その兆候はみえない。中国は、デモクラシーの次の国家モデルになるのだろうか。

続きは7月9日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。