Fallout: Disasters, Lies, and the Legacy of the Nuclear Age
原爆と原発は別だが、無関係ではない。核分裂は最初は発電技術として研究されたが、1942年にルーズベルトがマンハッタン計画を立ち上げ、それからわずか3年で広島と長崎に原爆が投下された。その後も原子力は軍事技術として開発され、軽水炉も原潜の技術として普及した。このように政府が研究開発投資を負担したことが、原発が急速に普及した原因だ。

しかし軍事技術として開発されたことは、原子力の短所ともなった。軍事機密を理由にして事故が隠され、特にソ連では1957年の(おそらくチェルノブイリを上回る)キシュテム事故の存在さえ、ソ連が崩壊するまで秘密にされていた。英米でも「事故隠し」が行われ、秘密主義が疑心暗鬼をまねき、放射能の恐怖が誇張されるようになった。

本書は環境ジャーナリストが、世界の原子力の現場をたずねたものだ。著者は科学的データにもとづいて、核兵器以外の原子力は安全だと考えるが、その将来については悲観的だ。すべての人が合理的に判断するわけではない。放射線は目に見えないので、専門家の話を信用できない一般人が恐怖を抱くのは当然だ。原子力産業はこの半世紀で、社会の信頼を失ってしまった。

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