コミンテルンの謀略と日本の敗戦 (PHP新書)
世の中には、いまだに「日本はコミンテルンの謀略に乗せられて日米戦争をやった」という類の陰謀史観がある。本書もその種のトンデモ本だが、1930年代の惨憺たる歴史は、結果としては「日本を社会主義で破壊する」というコミンテルンの謀略が実現したようにみえる。

近衛文麿の側近だった尾崎秀実は、ソ連の工作員だった。「天皇制の打倒」を掲げたコミンテルンの1932年テーゼを実行しようとした日本共産党は弾圧で壊滅したが、日本を「半封建社会」と規定する「2段階革命論」は知識人に大きな影響を与え、それにもとづく講座派マルクス主義が広く支持された。

それはコミンテルンの工作のおかげではなく、当時の知識人が社会主義を支持したからだ。世界恐慌はマルクスの予言が実現したものと思われ、経済危機を解決する手段として総動員体制(戦時共産主義)が、革新官僚にも帝大教授にも受け入れられた。彼らは天皇制打倒や暴力革命といった過激な手段は否定したが、「経済の計画化」は支持したのだ。

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