丸山眞男は戦後を代表する思想家で、今もリベラルの教祖的存在です。1950年代の講和条約をめぐる論争から安保条約改正に至るまで、彼は戦後民主主義を擁護し、知識人を代表して闘いましたが、60年代には論壇から姿を消しました。

しかし50年代に丸山などのリベラルが設定した「憲法擁護」や「安保反対」というアジェンダは、いまだに国会の争点です。かつて丸山が恐れたのは、治安維持法に代表される戦前の「国体」が復活することでしたが、今は表で非武装の平和憲法を掲げながら、裏では日米同盟で国を守る「戦後日本の国体」が定着してしまいました。

政治から撤退した丸山が研究したのは、日本人の精神構造でした。彼は古代から続く「古層」に、既成事実に屈服しやすい日本人の潜在意識を見出し、それを克服する近代的な主権者を確立する「永久革命」が日本の課題だと考えました。しかしその学問的成果はほとんど知られないまま、彼のつくった戦後日本の国体は今も政治を呪縛しています。

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