まもなく開票される新潟県知事選挙は、野党の推薦する池田千賀子候補がやや優勢と伝えられる。彼女が当選すると、米山前知事のつくった「検証委員会」で検討が続けられ、あと4年は再稼動が延期されるおそれが強い。知事には原発の再稼動を許可する権限はないが、東電は知事の意向には従うと表明している。

このように知事の権限が強い現象は他の立地県にもみられるが、その根本原因は日本社会ではみんなが拒否権をもっていることだ。こういう交渉問題は、経済学ではホールドアップ問題として知られている。たとえば自動車メーカーと下請けに資本関係がないとき、契約を結んでも、土壇場になって親会社が約束を破って「景気が悪くなったので納入価格を下げてくれ」と再交渉したら、下請けは抵抗できない。

ここで重要なのは事前にどんな詳細な契約を結んでもホールドアップできるということだ。「景気が悪くなっても納入価格は変更しない」と契約に書いても、親会社は「売り上げが落ちた」というかもしれない。「売り上げは無関係」と書いても、「品質が悪い」と文句をつけることができる…というように論理的には無限にホールドアップの理由がある。新潟県知事も同じだ。

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